60歳以降も仕事を続ける話。
シニアでも満足のいく転職可能な場合がある
私の知り合いで人材紹介会社をしている人がいるのですが、こんな投稿をしていました。
私は過去二度転職活動をしていたのですが、以前は「転職するなら35歳まで」とか「45歳以降の求人は殆どありません」と言われていたものですが・・
日本は少子高齢化社会で若い人がきわめて少ない状態ですし、老齢厚生年金の受給可能な年齢が引き上げられていて、男性だと昭和36年(4月2日)、女性だと昭和41年(4月2日)以降に生まれた方だと65歳にならないと厚生年金が支給されないので、60歳以降も働く方が珍しくなくなっています。
求職者のスキルや求人案件にもよるのですが、うまくマッチすれば高齢者でも今までと同等の条件で働くことも可能なのではないかと思います。
企業には60歳以降も雇用する義務がある
「高齢者雇用安定法」が2012年に改正され、定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、
①「65歳までの定年の引上げ」
②「65歳までの継続雇用制度の導入」
③「定年の廃止」
以上のいずれかの措置を取らざるを得ないことになりました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page09.html
私の知り合いでも60歳以上の方が何人かおられますが、②のパターンが一番多いようです。
ただ、それまでの給与が維持されるわけではなく、嘱託になったり関連会社に転籍になるなどして、今までの給与の5割~7割程度になるケースが多いようです。
さらに、「70歳までの雇用」が「努力義務」になった
さらに、今年(2021年)4月に「高年齢者雇用安定法」が改正され、70歳まで就業機会を確保する「努力義務」が定められました。
(厚生労働省のサイトには「定年の70歳への引上げを義務付けるものではありません」と明記されてはいますが・・・
もう60歳どころか70歳まで働くような時代です。
と言っても、60歳や65歳でも体力気力が充実してる人って結構いらっしゃいますけどね。私はマラソンしてるんですが、私よりいいタイム出す人は結構います(^_^;)
人生100年時代といいますが、この期間の働き方次第で生涯年収は大きく変わってくるのではないかと思います。
ただ、収入が増えれば社会保険料や税金も増えるので、単純に手取りの所得が増える訳ではありません。
そこで、ライフプランシュミレーションソフトを使って、
①60歳から69歳(70歳の誕生日の前日)まで、59歳時点と同じ給与収入があった場合
②60歳から64歳までは再雇用/59歳時点の収入の6割程度、65歳から69歳まではアルバイトで働いた場合の手取り収入=可処分所得(額面の収入ー社会保険料・税金)のシュミレーションをしてみました。
「Financial Teacher System 8」という、無料で使えるクラウド型のライフプランソフトを使って試算しました!
https://financial-teacher.net/
60歳から69歳までの手取り収入(可処分所得)①
まず、①60歳から69歳(70歳の誕生日の前日)まで、59歳時点と同じ給与収入があった場合ですが、、
59歳時点の年収が388万円で、以降69歳まで同じ年収を維持できた場合、この間の収入は
3,880万円 となります。
また、65歳からは老齢厚生年金の収入もあり、この期間の受給額は683万円となります。
(なお、年金収入は59歳までの収入金額によって異なります。)
(※ご参考:給与所得と年金収入の合計が月47万円を超える場合、年金は1/2に減額されます。)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html
合計収入は 3,880万円+683万円=4,563万円 となります。
一方で、この期間中収入から
社会保険料 622万円
税金 281万円
合計 903万円
が差し引かれます。
従いまして手取り所得は 4,563万円-903万円=3,660万円 になります。
60歳から69歳までの手取り収入(可処分所得)②
次に、②60歳から64歳までは再雇用/59歳時点の収入の6割程度、65歳から69歳まではアルバイトで働いた場合 です。
59歳時点の年収は①と同様388万円ですが、
60歳から64歳までは再雇用で、給与はそれまでの6割程度となり、年収240万円
65歳から69歳まではアルバイトで仕事をして、月収15万円、 年収180万円 とします。
65-69歳の年金収入は658万円、
給与所得と年金収入合計で2,100万円+658万円=2,758万円 となります。
そして60-69歳の間の社会保険料が301万円、税金が131万円でごうけい432万円、
手取り収入(可処分所得)は 2,758万円ー432万円=2,326万円 になります。
可処分所得で1,334万円の差
60-69歳の10年間の可処分所得は
①3,660万円
②2,326万円
となり、その差は1,334万円となります。結構な差ですね。
「年収」よりも「生涯の所得」を考えるべき
職業選びの場合、よく言われるのは「年収」です。業界や職種、地域により異なるので、より高い数字の所に人が集まるのは当然だと思います。
しかしながら、その「年収」がいつまでも貰えるとは限らないのです。
誰でも新卒で会社に入った頃は給料は少ないですし、高い役職につけない人は途中から給与は伸びないか、転籍したりしたら下がることもあるのです。
野球でも、1年だけ20勝したけど他の年はそれほど勝ち星を挙げていない投手と、
毎年10勝程度だけど、20年間コンスタントに勝ち星を挙げている投手とでは、通算勝利数はだいたい後者の方が多いですよね?
人生100年時代、瞬間風速の「年収」ではなく、長い目で見て可処分所得が多い仕事を探す・・・今や終身雇用というのは維持するのが難しいので、転職なども視野に入れたキャリアプランを考えるべきでしょうし、ただ給与の高い会社に入るだけでなく、自分のスキルを磨けるかどうかという視点で仕事探しをするべきではないでしょうか。
投稿者プロフィール
- 地方移住支援ファイナンシャル・プランナー、小林 恵(こばやし けい)です!
2012年に東京から福井にUターンしました!地方移住に伴うお金の不安、空き家活用など、お手伝いさせていただきます!
大野市で空き家を活用した民泊の宿「ねこばやし」を運営しています!
最新の投稿
- 移住2024.08.31「福井県移住・交流フェア」に参加します!(9/7)
- 記事執筆2024.06.14福井の地元紙「日刊県民福井」にコラムを寄稿しました!
- ブログ2024.01.24消費者金融「フクホー」の記事監修をしました!
- 記事執筆2023.12.21「みんなの銀行」ローンに関する記事の監修をしました!