【要約】第3回FPトークライブセッション(後編)
家を買う前に、家のストーリーを考えるべき
山形:このご夫婦、60で社宅を出てってほしいと言われているわけですが、、
その時点で家を買うのなら、当初はいくら必要になるでしょうか?
細井:この方の年収を考えれば、諸費用分くらいあればいいのではないかと思います。
物件価格の10%程度。5,000万円の物件なら500万円くらい。
余力があればもう少し頭金出したほうがいいと思いますけど
K: 今回取得された家を、後々どうするのかを考える必要もありますね。
娘さんが2人いらっしゃるわけですけど、同居されるのか、二世帯住宅
にするのか、(亡くなられた後に)娘さんに相続するのか、とか。
取得された家を後々どうするのか、を見据えた上で購入計画を
考えるべきですね。
山形:お子さんに家を相続するということは考えておられないようです。
K: では、ご夫婦が2人とも亡くなられた後は家は無くてもいいということに
なりますので、住宅金融公庫の「リ・バース60」で家を担保にお金を借りて、
月々の返済は利息分だけで、介護が必要になったらそのお金で施設に
入るという選択肢もあります。
※リ・バース60について 住宅金融支援機構のホームページより
https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/yushihoken_revmo/index.html
車だけでなく、家も所有から利用という考え方もあるわけです。
家を「買う」だけでなく、「将来売る」ことも視野に入れる
K: 将来どんな風に住みたいのか・・65歳以降は自営業をされるということでしたら
オフィスとしても使われるかもしれませんし・・・
山形:出来れば、家は将来老人ホームに入居されるような時の資金に充てたい意向です。
K: 老人ホーム・・・2人同時入居というのはそれほど考えられないんですよね。
1人老人ホーム入ったからと言って家を売る訳にはいかないですね。
鳥谷:ライフプラン考えたら、色々な選択肢があったほうがいいですよね。
細井:住宅ローン組むのなら早い方がいいですね。遅くなればなるほど審査が
厳しくなります。
会社から社宅を早く出てってほしい、と言われているのなら、早い時期に
ローンを組んで家買って、
65歳で退職金が出たら繰上げ返済して、70過ぎくらいで全額返済したほうが
いいかもしれませんね。
多くの人が言うことですけど、住宅ローンの返済は定年となる65歳までに
終わらせたほうがいいですね。65歳が無理ならなるべく早く。
そして75歳くらいで、リバースモーゲージで自宅担保にお金を借りて
老後の介護資金にするという方法もありますね。
※リバースモーゲージ:自宅(持ち家)を担保にして、そのまま住み続けながら
銀行から融資を受けられる仕組みのローン制度です。
小林:細井さんのとこでは、リバースモーゲージでお金を借りたという事例って
結構あるんですか?
細井:まだあまりないですね。まだこれからだと思います。
リバースモーゲージも、ある程度担保価値のある物件でないと受け付けて
くれないです。
佐藤:リバースモーゲージって、マンションとかではダメなんでしょうか?
細井:一部の物件なら出来るとは思いますが・・・基本的には戸建てだと思います。
山形:売りやすい家でないと、ということですね。立地とか広さとか築年数とかに
よるのでしょうか。
上山:どういうとこに住みたいか・・・その人の生き方にかかわることですね。
鳥谷:老後の生活資金づくりということであれば、住宅を担保にお金を借りる以外に、
資産運用ということも考えるべきだと思います。
老後の生活資金をどう考えるか
佐藤:最近、資産運用の世界では「いかに取り崩せる期間を長くするか、
資産寿命をいかに長くするか」というのが話題になっています。
老後は年金だけだと足りないので、現役時代に蓄えた資産を切り崩しながら
生活するわけですが・・
現預金だけでなく、余裕資金を運用しながら取り崩していくと、
資産が減っていくスピードをかなりゆるやかにすることができます。
インデックス・ファンドなら年利2~3%程度ですが、それでもだいぶ違います。
相談者様の投資経験やリスク耐性をヒアリングした上でのご提案に
なりますが・・・
※インデックス・ファンド
日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)など、市場全体の動きを表す
代表的な指数(インデックス)に連動した投資成果を目指す投資信託。
ファンドマネージャーが投資商品を選定・運用する「アクティブファンド」
に比べ信託報酬などのコストが安い。
小林:余裕資金を住宅ローンの前倒し返済に充てるという考え方もあると思いますが。
佐藤:いろんなパターンが考えられます。どの方法がいいかは、シュミレーションして
みないとわからないですね。
細井:保険で備えるという方法はありますか?
小林:昔入った積立型保険はそのままにしとけばいいと思います。
今は利率が低いので・・・
変額保険とか外貨建て保険とかもありますけど、資産運用を考えるのであれば、
どうしても保険でなければいけないの?という感じはしますね。
佐藤:収入保険はどう思われますか?
小林:2人のお子さんが卒業したら・・まあ世帯主様亡くなられた場合の奥様の
生活費も必要ですけど。
遺族年金もありますからね。保険料がちょっとお高めですし。
また、家を買うんでしたら住宅ローンの申込の時に団体信用定期保険(団信)に
入るわけですから。その分は不要になりますよね。
佐藤:家をどうするかで、資産運用や保険も決まってきますね。
K: 団信は健康状態によって入れない場合もありますけどね。
家の値段だけでなく、ローンの返し方も重要
山形:家で今後のライフプランが決まってくるわけですけど、、じゃあいくらくらいの
家を買えるのかというのが頭に浮かぶと思うんですけど、
ちょっと計算してみたんですけど、今53歳で、年利1.5%のローンを25年で
組んだ場合
毎月の返済額が10万円・ボーナス返済無しだとすると、借入可能な額は
2,500万円でした。
小林:ご夫婦2人住まいという前提ですか?
山形:今すぐ買う、ということになると、2人の娘さんも同居ということになりますの
で、そこが悩ましいですね。。
月々の返済額を増やしたり、ボーナス返済を入れたりするともっと借り入れ可能
な額は増えますが・・・
細井:金融機関は、60過ぎてボーナス返済というのはカンタンには認めてくれないの
ではないかと思います。
働く時間が短くなるわけですから。30代40代前半くらいで家買う人の考え方とは
根本的に違うと思います。
K: 娘さんが2人おられるので、近い将来出ていくのか出ていかないのか、
結婚したら同居するのか、スープの冷めないとこに住むのか、
住む人数が固まってから買う、という人もいると思いますね。
金額が金額ですから。また、将来自営業をする場合家を事務所にするかどうかと
いうのも関係します。正解は無いんですよね。
「お金」と「生き方」、どっちも大事
細井:東京という土地柄だと、家買う予算決めてから住む場所を決める、、というのも
アリだと思います。
小林:お金のことを決めるのと、どんな生き方をすべきか・・
どっちも大事な気がしますね。
どっちかを先に固めてから判断をすると、あとであの時こうすべきだったと
いうのが出てくるのではないかと。
上山:こうやって提案することで選択肢があると、生き方もいろいろ考えられますよね。
小林:企業だったら、経営方針というのはお金の算段をしながらシュミレーションを
重ねて練り上げていくんですよね。
個人もこういう感じでシュミレーションしながら生き方を模索していくのは
不思議でもなんでもないと思います。
上山:それを考えないから、「2000万円問題」みたいに、世間の波に呑まれて
しまうんですよね。
実際には、自分の人生というのは他人と比べるものではないと思います。
佐藤:頭の中でぐじゃぐじゃ考えるだけで、「見える化」してないんですよね。
だからマスコミの煽り情報に流される。それがずっと続いているんですよね。
小林:FPでも、相談者から「2000万円貯めるにはどうすればいい?」て聞かれて、
そのまま2000万円貯める方法を回答している人はいますけどね(笑)
細井:私は今50代ですけど、、、我々世代の生き方というのは、今の30代40代には
あてはまらないと思いますね。
給与は成果主義になってますし、FIREを目指す生き方もありますし。
佐藤:最近出てきた金融庁の報告書の中に、今どきの若者がどうやって金融情報を
集めているのかという項目があって、
インフルエンサーやSNSを参考にしているというのもあるんですけど、
「専門家に相談する」というのも
他の世代に比べて20代30代の人が一番高いというデータも出ています。
まだまだFPとして出来ることは多いのではないでしょうか?
K: 情報が膨大な世の中なので、その整理のお手伝いが出来るといいですよね。
(完)
※FPトークライブセッションの動画はこちらです!(約90分)
https://www.youtube.com/watch?v=15HR_PdCG4s
投稿者プロフィール
- 地方移住支援ファイナンシャル・プランナー、小林 恵(こばやし けい)です!
2012年に東京から福井にUターンしました!地方移住に伴うお金の不安、空き家活用など、お手伝いさせていただきます!
大野市で空き家を活用した民泊の宿「ねこばやし」を運営しています!
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