【要約】「FIRE」トークセッション(前編)
趣旨
今話題のトピックス「FIRE」=Free Independence,Retire Early 、若いうちに十分な資産を築くことで早期退職して自由に生きる・・について、全国のファイナンシャル・プランナー(FP)がオンライン会議で、お互いの意見をぶつけ合って、FIREの定義や実現可能性について論じていく・・・というものです。
参加FPのプロフィール
■細井久男(50代)
東京都東村山市在住。「実家の空き家対策.com」運営。
https://jikka-akiya.com/
今回のトークセッションの発起人
■佐藤 彰(30代)
東京都練馬区在住。証券会社勤務の後独立。キャリアファイナンス研究所代表
今回の進行役。
https://note.com/hyakuiro/?fbclid=IwAR3RbWk5zc09KSn8J2GP4mdSH_1EdqGgdPuM0qi71OqAjpFXwKNiHXaOLvQ
■鳥谷 威(20代)
福岡在住。現在FP開業準備中。
■K氏(50代)
群馬県在住。某大企業の人事部門で福祉相談の仕事に携わる。
■H氏(50代)
群馬県在住。婚活サポートを行う傍ら、FPとして結婚後のサポートも行う。
■福井のFP 小林恵(50代)
「FIRE」ブームについて
佐藤: 今回はFP同士のトークセッションということで、今話題になっている「FIRE」を企画させていただきました。
FIREについての説明と、その実際についてと、FPとしてFIREをどう考えるかについて話し合っていきたいと思います。
FIREは「Free Independence,Retire Early」の略、、ひとことで言えば早期リタイアということになると思います。
昔から早期リタイアのムーブメントというのは定期的にはやってきたけど、今回のFIREブームの特徴は、仕事を辞めて豪遊する・・のではなく質素に暮らす、ということになると思います。
どうやってFIREを実現するかというと資産運用なんですけど、4%
の利回りで退職金を運用している人はほぼ元本を減らさずに生活出来ているというデータがあります。
実際にFIRE実践するためには、例えば年間の生活費が300万円の場合ですと、FIRE実現のために必要な金融資産は7,500万円になります。これだけあれば利回り分だけで生活できます。
その7500万円を4%で運用する場合、30年間で用意するためには、毎月10.8万円を30年間投資し続ける必要があります。
(一同、唸る)
「FIRE」を実現しているのはどんな人たちなのか?
佐藤:FIREを実現してる人って周りにいます?
小林:知り合いで2人います。50代と60代。両方とも株のテクニカル分析手法(※株価のチャートの動きを見て投資する手法)で財産形成しました。
1人は十分な資産があっても、今でも株のスクールの講師をしてます。
株が好きなのと、お金があっても社会との関わりは必要と考えているようです。
2人のことを見てると、何も仕事しない、働かないというのは果たして幸せなのかな・・・て思いますね。FIREに限らずですが、老後のお金の心配される方が多いんですけど、本当に考えなければいけないのは老後の生き方なのではないかと思います。
FIREに関係なく、定年退職して毎日テレビ見てるだけ、という人は結構います。
細井:比較的若くして独立した人の事例って無いですかね・・・不動産やってる方は結構いらっしゃるんですけど。マンション一棟買って家賃収入で生きてくとか。
小林:別のとこのセミナーでそういう話聞いたんですけど、入居者募集とかメンテナンスとかクレーム処理とか結構大変で、不動産ってのは不労所得というよりは事業所得だと思いますよ(笑)
H:私は個別株の投資を長くやってるんですけど、この20年くらいでインターネットの普及で個人が投資しやすくなりましたね。テクニカル分析というよりファンダメンタル(企業の業績や成長性を分析して投資する手法)なんですけど、そういうことしてる人たちってのはそういう情報を調べるのが本当に好きなんですよね。そこにはリスクもあるので、損する人もいるわけですけど。メンタルの部分もかなり影響します。
佐藤:長期投資ですね。
H:途中には暴落局面もあるわけで、株で儲けて悠々自適のはずが自分の資産が半分になるような人もいるので、そこを持ちこたえられないと厳しいかなと。
K:FIREについての本を何冊か読んだんですけど、その著者の一人は不動産で実現してて、マンションを一棟丸ごと買って家賃収入で暮らしたりしてる訳ですよね。小林さんの言う通りいろいろ付帯業務があって大変といえば大変なんですけど、その人はその仕事が大好きなんですよね。そういう生き方もあるのかなと。このFIREブームというのは、一人ひとりがどう生きるべきかを考えるいい機会なのかもしれないですね。
あと、早期リタイアといっても、今は年金が出る65まで働かないといけないけど、これからは60くらいでリタイアするのも早期リタイアと言えるのかもしれない。そして残りの5年間、健康でお金もある黄金の時代に好きな事して生きる、そういうFIREもあるのかもしれないですね。ひとそれぞれだと思います。
FIREを考えている人は、どんな人生を生きたいのか、そのためにいつまでにいくら必要なのかを見極めないといけないんでしょうね。
FIREブームの背景
佐藤:FIREは手段で、大事なのは生き方という感じがしますね。鳥谷さんのような若い世代の人はFIREについてどう考えてるんでしょうか?
鳥谷:中高年の方だと早く引退したい、という考え方なんでしょうけど、20代30代の人は、最近投資を始めた人が多くて、彼らが投資の目標を作ろうとした結果、FIREに行きついた・・というような人が多いように思います。
佐藤:ゲーム感覚のようなとこもありますね。RPGみたいに敵を倒していくみたいな。
私の知り合いでFIRE実現した人はみんな投資じゃなくて事業で資産築いた人なんですけど、お金稼ぎたいというよりはゲーム感覚で仕事してたら気がついたらお金が出来ていて、働かなくても良くなってたみたいな。
FP的視点で、FIREの定義を考えてみる
細井:FIREの定義なんですが、何にもしなくても暮らしていける、というのがFIREなんでしょうか? 不動産も株も事業もなんですが、好きな事してお金が入ってくる、というのもFIREじゃないんでしょうか?
何もしないでいると飽きるんじゃないか・・・て思うんですが。
佐藤:FIRE実現した人でも、一時は働かずにプラプラしていても、結局また事業始めた、、、て人もいるんですよね。
小林:ここにいる人間、大部分が会社辞めた人間だと思うんですけど、働くのがイヤというよりは、自分の時間が拘束されるのと人間関係だと思うんですよね、苦痛なのは。
皆さんも仕事自体はイヤじゃないと思うんですよね。
(一同うなずく)
小林:別にお金ためなくてもやりたいことやっちゃえばいいんじゃないかと。地方だとそもそもそんなに生活費かからないですし。
H:私はまだ一応会社勤めしてるんですけど、お金を自由に動かしたりするには制限もあるし、時間も自由にはできないので、そういうところから開放されたいというのはあるのではないかと思います。
細井:FIREってアメリカ発祥なんですけど、彼らは終身雇用でもないし、株高がずっと続いてるし、彼らにとってみてはFIREって当たり前のことかもしれませんね。
小林:日本もアメリカみたいになってきてるし、給与所得だけでライフプランを考えるのは厳しくなってくるかもしれないですね。副業とか資産運用も組み合わせて考えないと。政府もそれを推奨してるし。
細井:今の日本は過渡期なのかもしれませんね。
細井:佐藤さんがさっきおっしゃった、7500万円を30年で貯めるというのは現実的なんですかね?
佐藤:ぶっちゃけ厳しいと思います(笑)実際に投資でFIRE実現した人は、個別株を集中的に買って、それが運よくバーンと上がって・・・という人が殆どですね。実際には。
そういう風にうまく行く人ばかりとも限らない。
だから投資でFIRE実現のための定石を作るのはかなり難しいと思います。
皆さんの話聞いてて思ったのは、いま世の中が揺れていて、みんな新しい生き方を模索していて、そこにFIREという考え方が来たからそこに乗っかっちゃった・・・という気がします。
だからFIRE以外の生き方が来たら、そっちに乗り移るかもしれないですね。
(続く)
投稿者プロフィール
- 地方移住支援ファイナンシャル・プランナー、小林 恵(こばやし けい)です!
2012年に東京から福井にUターンしました!地方移住に伴うお金の不安、空き家活用など、お手伝いさせていただきます!
大野市で空き家を活用した民泊の宿「ねこばやし」を運営しています!
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