「老後」の話。

若い人向けのセミナーで話をしてきました!

先週、農業を志す若い人を対象にしたライフプランのセミナーで話をしてきました!

内容は、ライフプランや社会保障や投資といった幅広い内容なのですが、

その中で、老後にどう備えるかという話をしました。

「老後2000万円問題」の正体

一昨年話題になった「老後2000万円問題」ですが・・・
今も家計相談をしていると、相変わらずこの話がちょくちょく出てきます。

そこで、今回のセミナーでも取り上げました。

この問題の発端になった文書がこれです。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

要約すると、個人でも資産運用が大事という話なのですが。。

何故か「老後生活のためには2,000万円必要」という部分だけフォーカスされて今に至ります。

2000万円の根拠

上記の資料のP10に、「夫65歳、妻60歳の夫婦のみの無職世帯」の月間の「平均的な」収入と支出の図があります。

支出は263,718円。

対して収入は209,198円。

差額約5万円となります。
「この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産により補填することになる。」という記述があります。

収入の多くは老齢年金なので、「年金だけでは老後の生活費はまかなえない」ということになると思います。

しかし、別の調査では

”自分の老後の日常生活費を公的年金でまかなえると考えているかをみると、「まかなえると思う」は
17.5%、「まかなえるとは思わない」は78.7%となっている。”という記述があります。

(この資料のP43です)

https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho.pdf

だから、年金だけではまかなえない、という話自体が特に目新しいわけでも、政府が隠していたという訳ではありません。

ある式が、2000万円という数字を作る

さて、先ほどの文書に戻りますが、、

P21にこんな文章があります。

”前述のとおり、夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では
毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれ
ば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。この金額は
あくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支
出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる
。”

月5万円でも、30年間だと合計が 5(年)x 12(ヵ月)x30(年)で1,800万円、

2,000万円近くになります。

一般に「老後」というと65歳以降の人生ということになると思うのですが、そこから20年30年と人生は続くのです。

その事実をまだ認識出来ていない、ということなのではないでしょうか?

因みに、昨年の年末(12/25 ~31)地元の新聞のお悔やみ欄に載っていた方のご年齢を集計したら以下の通りでした。

~40代  3人
 50代  3人
 60代  6人
 70代  30人
 80代  52人
 90代  46人
100歳~ 10人

昔は70歳を「古稀」と呼んでいましたが、、、今では70より前に亡くなる方のほうが稀と言えるのではないでしょうか?

「老後」ではなく「65歳以降」のライフプランを!

今は65歳以降になっても働いている人は珍しくない時代ですし、
海外旅行に行くとか、ボランティアをするとか、菜園を持つとか、
「老後生活」の中身もさまざまです。

老後までに用意しておかなければいけない金額も、当然一人ひとりで異なります。

(都会か地方か、家族構成、家の有無などによっても異なります)

「2,000万円どう用意するか」ではなく、自分がやりたいことのために必要なお金と、その時点での収入を想定して、

今から備えておくことが大事なのではないでしょうか?

そもそもですが、、、「老後」という言葉自体がいかがなものかと思います。

人は、年をとったらとったなりに、一人ひとりが人生の真っただ中にいるのです。
「老中」と呼ぶべきですが・・・それだと江戸時代の偉い人みたいですね(^_^;)

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投稿者プロフィール

福井のファイナンシャル・プランナー 小林 恵福井のファイナンシャル・プランナー
地方移住支援ファイナンシャル・プランナー、小林 恵(こばやし けい)です!
2012年に東京から福井にUターンしました!地方移住に伴うお金の不安、空き家活用など、お手伝いさせていただきます!
大野市で空き家を活用した民泊の宿「ねこばやし」を運営しています!