福井の地元紙「日刊県民福井」にコラムを寄稿しました!

テーマは「増え続ける空き家」

6/11付の日刊県民福井でFPが交代で執筆している「ファイナンシャル・プランナーの家計改善サプリ」に記事を書かせていただきました。

テーマは「増え続ける空き家」。

 

空き家対策関連の法律が相次いで施行

昨年12月に「空き家対策特別措置法」が一部改正されました。朽ち果て倒壊のおそれのある空き家を「特定空き家」に指定し、通常土地に建物があれば固定資産税が6分の1になる「固定資産税等の住宅用地特例」が適用されるのですが、2015年制定の「空き家対策特別措置法」「特定空き家」についてはこれが適用されなくなりました。今回の改正で、「特定空き家」に加え、その前の段階「管理不全空き家」についてもこれが適用されなくなります。

更地にしてしまうと固定資産税が6分の1になるから、建物は壊さずにそのままにしておく・・・というのは、これから通用しなくなる場合があります。

国土交通省:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報

また、今年の4月から「相続登記申請」が義務化されました。全国の所有者不明土地の割合は24%、九州本島の大きさに匹敵すると言われています。これは、国が管理する「登記簿」に権利関係などの情報を登録し公に示す「登記」がされておらず、所有者が誰かわからないことが原因の一つです。このような事態にならないようにする措置です。

法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

また、相続した土地を国が引き取る「相続土地国庫帰属制度」が昨年4月に施行されましたが、10年分の管理費相当額を事前に納める必要あり、建物のある土地は対象外であるなどいくつか条件があります。

法務省「相続土地国庫帰属制度について」

総住宅戸数は過去最多、空き家も増加の一途。

昨年10月時点で我が国の総住宅戸数は6502万戸と過去最多ですが、「賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家」も385万戸と、2018年と比べ37万戸の増加となりました。福井県に関して言えば、総戸数のうち8.4%が「賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家」ということになります。

日本、特に地方においては少子高齢化が進み人口が減る一方なのに、新築物件は増え続けているのだから空き家が増えるのは当然の流れです。

ただ、私はそれほど悲観してはいません。

空き家を取引する市場が形成されつつある

メルカリなどの中古品を取引するサイトは活況で、特に若い世代の人たちは中古物件に対する抵抗感は以前に比べ低くなっているように思います。空き家関連でも売主と買主を直接繋ぐサイトも出てきていますし、空き家をリフォームして販売している不動産業者も出てきています。

「タダでいいから土地をあげたい」人に譲渡先を見つける“0円負動産マッチング”…「全額自腹のサポーター」のナゾ

まいほむ株式会社|福井の空き家買取、再生住宅の販売専門店

以前は洋風建築やマンションが好まれ、伝統的な日本家屋は旧時代の遺物のような目で見られていましたが、今は「古民家」は日本の古き良き時代の生活様式を残す文化的遺産のように見直されています。

一方、解体の際に出る産業廃棄物再資源化の義務や人件費・資材の高騰により、建物を取り壊して新たに建てる場合のコストは以前よりも上がっています。空き家を活用することで住宅関連のコストを抑えることができ、その分生活の質の向上が図れます。

環境省「建築リサイクル法の概要」

大企業や有名大学が都市部、特に首都圏に集中していることから地方→都会への人口流入がずっと続いてきましたが、リモートワーク環境が普及し今まで都会でないとできない仕事を遠隔地でもできるようになりましたし、むかしは百貨店や有名店でしか買えなかったものが量販店や通販で手に入るようになりました。そして「空き家」を住まいや交流の拠点として活用することで、低コストで生活基盤を作ることができます。

私も福井県大野市で「空き家を活用した大野の民泊宿 ねこばやし」を運営しています。その地域ではごく標準的な規模の家ですし、ほぼリフォーム無しで使わせていただいていますが、お客さんからは「広い!」「昭和のドラマに出てくる家みたい」との声をいただいています。付近には観光名所があるわけではないのですが、目の前が田んぼで景色が美しく星空が綺麗と、田舎であること自体もプラスに受け止められています。

いま空き家で使い道がなくても、住みたい・使いたいという人はいます。そして空き家を活用することで地域おこしにもつながります。

もちろん、思い出の詰まった家を手放したくない、変な使い方されたくないという人もいるでしょう。それなら貸してみる、例えば仏壇はそのままにする・大規模修繕の場合には事前に相談するなどの条件をつけるというのも一つの手です。空き家を保有されている方は、自分はどうしたいのか、を考えてみましょう。

今はどこの自治体でも空き家問題の解決に力を入れていますし、空き家問題に取り組む民間団体もあります。まずは相談されてみてはいかがでしょうか。ファイナンシャル・プランナーとして家計相談を行っていますが、相談に来た時点で半分以上は解決しているといつも思います。

 

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投稿者プロフィール

福井のファイナンシャル・プランナー 小林 恵福井のファイナンシャル・プランナー
地方移住支援ファイナンシャル・プランナー、小林 恵(こばやし けい)です!
2012年に東京から福井にUターンしました!地方移住に伴うお金の不安、空き家活用など、お手伝いさせていただきます!
大野市で空き家を活用した民泊の宿「ねこばやし」を運営しています!