東京一極集中でなくなった業界の話。
県外への転出者増加率全国最大は福井県
一昨日の福井新聞の記事ですが・・・
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1022199
人口80万人いない福井県で、県外への転出者 - 県外からの転入者:転出超過が 3,336人。増加率でいえば全国一だそうです。
程度の差こそあれ、首都圏・中京圏・関西圏以外のほぼ全国で転出が止まらず、とくに東京への一極集中が続いています。地方にとっては死活問題ですし、都会で暮らす人にとっても保育所や病院などの生活インフラが人口増に追い付かず、良い話とは言えないと思います。
しかし、かつて完全な一極集中だったのに、それを脱しつつある業界というか分野があります。
昭和の時代には、漫画家はほぼ全員上京していた
漫画というものをメジャーな存在にしたのは故・手塚治虫。
兵庫県の宝塚市で宝塚歌劇を見たりしながら育ち、大阪大学医学専門部在学中に漫画家としてデビューしますが、その後上京し、東京豊島区の「トキワ荘」に住み、その後生涯東京で暮らしました。
「トキワ荘」で手塚治虫が退居した部屋に住んだのが藤子不二雄の二人。彼らも富山県高岡市出身です。藤子不二雄A が書いた「まんが道」には、青雲の志を抱いて上京する姿が描かれています。
漫画家になろうと思ったら出版社に漫画の原稿を持ち込まないといけませんし、漫画家デビューした後も編集者との打ち合わせや原稿の打ち合わせのために出版社の近くにいなければいけません。そして当時というか今でも出版社は東京にあります。
場所を選ばず創作活動が出来るようになった
ところが昭和の終わりごろにFAXというものが出てきて、平成に入る頃には普及します。
更に、今世紀に入る頃にインターネットが普及し、データで漫画の原稿を送れるようになります。さらに、かつてはペンと紙で漫画を描いていたのが、今では液晶タブレット(iPadでもいいそうです)で描く人がかなり多いそうです。原稿をスキャンしなくても直接データ化されます。
連載ものになると作家さんとそのお手伝いをするアシスタントさんが一つの部屋に集まって、というのも必ずしも必要ではないそうです。描きかけの絵を遠隔地にいるアシスタントに送って仕上げてもらう。
https://comic-days.com/episode/10834108156652412315
(このマンガの第6話に、会ったこともない遠隔地の人にアシスタントを依頼する話が出てきます)
マンガを発表する場も多様化した
また、昭和の時代にはマンガを読もうと思ったら月刊週刊のマンガ雑誌を買うか、単行本を買うしかありませんでした(以下、商業誌と称します)
しかし、昭和の終わりごろから出版社を通さずに発行される「同人誌」というものが出てくるようになりました。盆と年末に開催される同人誌の即売会「コミックマーケット」には4日間で73万人もの入場者があったそうです。年二回東京に出てくれば、漫画家志望の人はとりあえず世間に自分の作品を発表することができます。(儲かるかどうかは別ですが)
そして以前は、コミックマーケットで売るか同人誌を扱う書店で売ってもらうか(通販含め)しか手段が無かったのですが、10年くらい前からスマホの普及に伴い電子書籍でも読めるようになりました。
自分でAmazonなどのサイトで自分の描いたマンガを流通させることが出来ますし、出版社が運営するマンガのサイトやニコニコ動画やLINEに掲載する人もいます。
更に、企業の力を借りなくても、TwitterやPIXIVなどのSNSで自分の描いたマンガを載せるだけならすぐに出来ます。そこでイイネやリツイートがたくさん集まれば商業誌からスカウトされます。
(この人はTwitterでちょこちょこマンガを出してたなと思ったら週刊モーニングで連載してました。)
また、本を売らなくても、作品を見て気に入った人が直接作家さんを金銭的に支援することができるというサイトもあります。必ずしも出版社やマンガのサイトを経由しなくてもいいのです。
供給する側(漫画家)と需要家(読者)との接点が多様化し、お互いの距離が近づいています。
その結果、例えばこの人は地方どころか日本と中国の間を行き来してますし
この人などは家を持たず、軽のワゴン車でマンガ描きながら生活してますし
https://twitter.com/haibiitirou/
1980年代版の「まんが道」ともいえる「アオイホノオ」を連載中の島本和彦氏も今は札幌に住んでいます。
集中と分散は繰り返される
もともとこの国には至る所に豪族がいたのですが、、、奈良時代に中央集権国家となり、平安時代末期になると律令体制が形骸化して全国の武士たちが力を得て、戦国時代には群雄割拠。
しかし江戸時代には参勤交代で大名は江戸と地元を行ったり来たり。
明治の初めころには東京の人口はガクンと減ったそうですが、、その後大学や企業の本社が東京に集中するようになり現在に至ります。
人も情報も東京に集中した時代が長く続きましたが・・・歴史は繰り返すかもしれません。
※間違って「イベント」というカテゴリーにしてしまいましたが、本記事、単なるブログです。すみません。
投稿者プロフィール
- 地方移住支援ファイナンシャル・プランナー、小林 恵(こばやし けい)です!
2012年に東京から福井にUターンしました!地方移住に伴うお金の不安、空き家活用など、お手伝いさせていただきます!
大野市で空き家を活用した民泊の宿「ねこばやし」を運営しています!
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